OD交通量の可視化

人の流れを可視化する代表的な手法としてOD交通量を可視化する方法があります。OD交通量を可視化することで、ざっくりとした都市全体の人流がわかるので、人流の全体像を掴むのに有効な手法だと思います。

本記事では、OD交通量の可視化する必要が発生した人に向けて、OD交通量の可視化方法を整理したうえで、具体的にOD交通量を可視化する手法まで解説していきます。

OD交通量の可視化方法

一般的にOD交通量を可視化する方法は、表での可視化と図やグラフでの可視化と大きく2つの方法あります。

表での可視化

表での可視化では、行に発生地域、列に集中地域を配置することでOD交通量を表現します。このように作成される表は一般的にOD表と呼ばれます。

図やグラフでの可視化

図やグラフによる可視化は、地図上もしくはそれに準じた地理空間的な関係性がわかるような形で地域間の交通量を表現することで、地理空間的な関係性と共にODを表現する手法です。

各手法のメリットとデメリット

表での可視化と図やグラフでの可視化では、それぞれ以下のようなメリットデメリットが挙げられます。これらの特性を意識して目的に応じた可視化を行うことが重要です。

メリットデメリット
向きを含めた交通量の可視化が容易
詳細な数値を把握可能
地理空間的な関係性の理解が難しい
多数のゾーンの間交通量を表現しても理解が難しい
図やグラフ地理空間的な関係性を理解しやすい
多数のゾーンの間交通量を表現しても直感的に理解が可能
向きを含めた交通量の可視化は多くの手間がかかる

表と図やグラフの大きな差異は、交通量の向きの表現の容易さ・地理空間的な関係性の表現の可否の2つです。表の場合、交通量の向きまで含めた表現が用意に行えますが、地理空間的な関係性の理解ができません。また、表現したいゾーンが多い場合も表での可視化では理解は難しくなります。一方で図やグラフの場合、交通量の向きまで表現しようとする場合、機械的な可視化は難しく手間がかかる一方で、地理空間的な関係性、多数のゾーン間の関係性については理解ができるというメリットがあります。

本記事では、交通量の向きを考慮しないグラフを使った可視化の手法について解説します。交通量の向きのを考慮しないことで、地理空間的な関係性を踏まえたOD交通量の可視化を容易に実施することが本記事で紹介する手法のメリットと言えます

可視化用データの作成

OD交通量の集計

まずは、OD交通量の集計を行います。この際、OD交通量を無向グラフとして集計していきます。例えば 地域1 ⇒ 地域2 と地域2 ⇒ 地域1 といった移動について、地域1と地域2間の移動といった形で集計を行っていきます。

wktデータの作成

wktデータとはWell-Known textデータの略称で、幾何学オブジェクトを地図上に表現する際に用いられるデータ形式です。wktでは、下図のようなテキストを作成することで、点や線またポリゴンを表現することができます。

OD交通量の可視化を行う際は、このwkt形式におけるLineStringを使用することで地点間の交通量を可視化していきます。

出典:Wikipedia

csvtファイルの作成

wktデータを含めたcsvファイルまで作成すると、QGISにてOD間の繋がりを地図上に可視化することができます。ただしQGISにおいてはcsvファイルはすべてのデータが文字列として読み込まれてしまいOD交通量のボリュームを地図上で表現できなくなってしまいます。

この時活躍するのが、csvtファイルです。csvtファイルは各列のデータタイプを定義するファイルで、csvデータと同じ階層に同じ名前のcsvtファイルを保存しておくことで、QGISにcsvファイルを読み込んだ際に定義したデータタイプにて読み込まれるので、OD交通量を数値として読み込むことで、ボリュームを地図上で表現できるようになります。(csvtファイルの説明

可視化方法

ここまでで作成した、wktデータを含むcsvファイルとそれに付随するcsvtファイルを活用することで、OD交通量の可視化を行っていきます。本記事では、基本的な可視化方法と少し実験的な可視化方法の2つを紹介していきます。

基本的な可視化

OD交通量を可視化する基本的な方法は、交通量が一定数以下のODを足切りして可視化する方法です。すべてのODを可視化すると線が多くごちゃごちゃの図で何も理解できなくなってしまうため、一定数以下のOD交通量は足切りをして表示するODを剪定していきます。

隣接ゾーン間の交通量を可視化

上述した一般的な交通量の可視化で大きな不満はありません。ただ、交通量の少ない地点を足切りすると結果的に残るOD交通量の多くが隣接ゾーン間の交通量であることが気になります。であれば、初めから隣接ゾーン間のODのみ可視化すればよいのでは?と作成した図が以下の図になります。

隣接ゾーン間のODすべてを可視化することによって、交通量が少なく足切りされていたODについてもその交通量の濃淡を表現することができるようになっています。

一方で、線が多くなりすぎてよくわからないこと、隣接ゾーン間以外の交通量が多いODが可視化されないことといったデメリットがありそうでした。(これはこれで悪くはないが、大したメリットがないわりに手数が増える印象)

まとめ

本記事では、OD交通量の可視化方法について整理したうえで、グラフを用いたOD交通量の可視化方法を解説しました。OD交通量をみると都市全体の移動が俯瞰的に把握できるので、移動の全体感を把握することができるかと思います。

また、ODを可視化した図をアウトプットすると細かい部分を、把握できない場合があるので、以前の記事にて紹介をしたwebGISと組み合わせて確認をすると、アウトプットを受け取った人も詳細部分の確認をできてよいかもしれません!

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