QGISの使い方② QGISでポイントデータを表示してみよう

前回の記事では、QGISのインストール方法について解説しました。
今回はいよいよ、地図上にデータを可視化でして、GIS操作の入り口に入っていきます。本記事ではポイントデータを可視化していきますが、その他のデータも同様の形で可視化できます。
実際に手を動かしながら、QGISで地図データを扱う感覚をつかんでいきましょう!

QGISにおけるデータの種類

さっそくデータを表示していきたいところですが、まずQGISのデータの種類について学ぶ必要があります。少し退屈ですが、ざっくりと理解してください!

GISで扱うファイル形式の全体像

地理情報システム(GIS)では、地図上にさまざまな情報を重ねて表示し、空間的な分析を行います。こうした処理には多種多様なファイル形式が使われており、それぞれに特徴や用途があります。
しかし、これらのファイル形式はすべてがバラバラに存在しているわけではありません。実は大きく分けて、ベクターデータとラスターデータの2つのデータ構造に分類することができます

ベクターデータ形式:点・線・面で表す形式

ベクターデータは、地物(建物、道路、地域など)を「点・線・面」などの幾何学的な形で表現する形式です。たとえば以下のようなものがあります:

  • 点(ポイント):信号機、コンビニ、バス停の位置など
  • 線(ライン):道路、鉄道、河川など
  • 面(ポリゴン):行政区、建物、森林など

それぞれの地物は、属性情報(名前、種類、面積など)を持たせることもできます。視覚的に明確な形を持つ対象の表現に向いており、地図の基本的な構成要素として広く使われています。

■主なベクターファイルのファイル形式

  • Shapefile(.shp):最も広く使われている形式。複数ファイルで構成。
  • GeoJSON:軽量でWebでも扱いやすい。
  • GPKG(GeoPackage):QGISが推奨する、高機能な単一ファイル形式。
  • KML / KMZ:Google Earthなどで使われる視覚的な形式

ラスターデータ:画像のように連続的な情報を表す形式

ラスターデータは、地表の状態を「格子状のセル(ピクセル)」で表現する画像型のデータ形式です。各セルには数値が格納され、色や値として表示されます。主に、連続的な現象や空間分布の可視化に適しています。

たとえば以下のようなケースです:

  • 標高データ(DEM):地形の高低を数値で表現
  • 衛星画像:土地被覆、植生、都市開発の可視化
  • 気温・降水量マップ:天気や気象の空間分布分析

代表的なラスターデータ形式:

  • JPEG/PNG + ワールドファイル:見た目は画像だが、別途位置情報を付与。
  • GeoTIFF(.tif):空間情報を含んだTIFF画像。最もよく使われる。
  • ASCII Grid:テキスト形式の格子データ。

まとめ:GISファイル形式の分類(樹形図)

以下のように、「ファイル形式 → データ構造(ベクター/ラスター)」の関係を整理しておくと、今後の理解がスムーズになります。

GISファイル形式
├── ベクターデータ
│ ├── Shapefile(.shp / .shx / .dbf)
│ ├── GeoJSON(.geojson)
│ ├── GPKG(.gpkg)
│ ├── KML / KMZ
│ └── CSV(座標つき)
└── ラスターデータ
├── GeoTIFF(.tif)
├── ASCII Grid(.asc)
└── JPEG / PNG + ワールドファイル(.jgw / .pgw など)

このように整理しておくことで、新しいファイルに出会ったときも「これはベクターデータか?それともラスターデータか?」という視点で判断しやすくなります。

なお、GISの基本的な操作では、ベクターデータを扱うことが圧倒的に多く、なかでも Shapefile(シェープファイル)は最も広く使われている形式です。
このブログでも、基本的にはShapefileを中心に解説していきます。

特に初めのうちは、Shapefileの扱いに慣れるだけでも十分に実用的な作業ができるようになりますので、あまり身構えず、まずはShapefileをしっかり理解することから始めましょう。

次の章からは、shapefileを使って、点データ・線データ・面データの可視化を実際に行ってきます。ぜひ一緒に表示してみてください。

点データ(ポイントデータ)の表示

今回の記事では、データ表示のサンプルとしてポイントデータのやり方を示しますが、shapeファイルであればポイントでもラインでもポリゴンでも基本的な操作方法は変わらないので、同じ方法で行ってみてください。

データのダウンロード

まずはサンプルとして可視化する点データを用意するために国土数値情報サイトのにアクセスします。このサイトは、国土交通省が提供しているさまざまなデータをダウンロードすることができます。

今回はこのサイトのなかから、バス停留所のデータを活用していきます。
下にスクロールして、バス停留所をクリックしていただいても、こちらのリンクをクリックしていただいても大丈夫です。ページにアクセスして、下にスクロールしていくと、以下の画像のようなページが表れるので、北海道のshpファイル版をダウンロードします。(適当に北海道を選んだので他の地域でも大丈夫です!)

データの表示

データのダウンロードができたので、さっそくデータを表示していきます!
まずダウンロードしたzipファイルを開くと以下の画像で選択しているshape関連ファイルが5つあるので、これをzipの外に解凍しておきます。

QGISを開いて、左上にあるプロジェクト>新規をおして、新しいファイルを開きます。
真っ白な地図が開くので、上記で回答したファイルのなかから、.shpが拡張子になっているものをドラック&ドロップで中央の白い部分に投げ込みましょう。

データが表示されるとこのように、北海道のバス停が表示されました。

さらに、XYZ Tilesをクリックして、前回設定したOpenStreetMapをダブルクリックすると、以下のようになります。

左したにあるレイヤをみると、先ほど表示したバス停よりOpenStreetMapのほうが上にあります。この状態だと、OpenStreetMapが最前列にきてしまいます停がみえないので、OpenStreetMapををドラックして一番下にしましょう。すると、以下の画像のように、地図上に書くバス停が見えるようになります。

拡大することで、地図のどこにあるか明確に確認することも可能です。

まとめ

今回は、QGISで地図データを扱ううえで欠かせない「データの種類」や「ファイル形式」について学びました。GISでは、多様な形式のファイルが存在しますが、それらは大きく分けて ベクターデータ(点・線・面)と ラスターデータ(画像型の連続データ)という2つの構造に分類できます。

特にベクターデータは、地図上の明確な形や位置情報を扱うのに適しており、Shapefile(シェープファイル)はその中でも非常に広く使われています。初心者にとっては、まずShapefileを使いこなせるようになるだけでも、QGISでできることが一気に広がります

このshapefileについて学ぶための導入として、実際にShapefileを使ってポイント(点)のデータをQGIS上に表示し、可視化の第一歩を踏み出しました。ここから、これらのデータを加工したり情報の追加をしていくことで様々な可視化や分析が可能となり、QGISの楽しさと可能性を感じてもらえるはずです。ぜひ一緒に、手を動かしながら進めていきましょう!

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